CADは医療と深い関係があるキーワードです。
CADソフトは設計の世界でよく用いられている略語ですが、医療用語にもCADが存在します。
この記事では設計と医療用語におけるCADの違いと関連性についてわかりやすく解説します。
医療関係で利用されるCADとは
医療関係で利用されるソフトとしてのCADとは何なのでしょうか。
医療用語で一般的に用いられているCADとは違うキーワードなので詳細と医療との関連性を確認しておきましょう。
CAD=Computer-Aided Design
設計ソフトとして用いられているCADはComputer-Aided Designの頭文字を取っている略称です。
CADはコンピューター支援設計と日本語に訳すことが可能です。
ものづくりはまず設計をするところから始まります。
例えば、建物を設計するときには製図の技術を用いて、平面図を手書きすることにより建物のデザインを作り上げてきました。
しかし、正確なラインを引くのには技術が求められます。
顧客との打ち合わせを通して修正が必要になったときには手間がかかり、場合によっては一から図面を引き直さなければなりません。
ビルのように大きな建造物の設計では、書き上げた図面は大きいことが多く、取り扱いが問題になることもありました。
しかし、CADを使用すればコンピューター上で製図をおこなうことができます。
直線や曲線を正確に引くことが簡単で、コピー&ペーストなどによって作業効率を上げられます。
修正のときにも微調整をすることが容易なので、効率的かつ柔軟に設計を進めることができるのが特徴です。
作成した図面はデータとして保存可能で、履歴を残しておくこともできます。
電子データとして設計者が顧客や建築会社とも共有することが容易です。
近年では複数の設計士がオンラインで同時に作業することも可能になっています。
このような利便性の高い設計ソフトとして活発に活用されているのがCADです。
3次元CADによるものづくりが活発
近年になってCADの注目度が向上したのは3次元CADが登場して応用が容易になったからです。
3次元の立体的な物体をコンピューター上で設計できるようになっています。
ビルなどの建造物だけでなく、身近にある商品の設計をするときにもCADを使うことが多くなりました。
立体的なものをコンピューター上で可視化し、わかりやすい形で設計を進められます。
土木や建築における大型の設計・製図だけでなく、製造業やアパレル業などでのものづくりや、医療・福祉における環境設計などにも用いられるようになっている技術です。
医療機器のデザインとCAD
医療関係では医療機器のデザインとCADに深いかかわりがあります。
医療機器のデザインにはCADが用いられるようになってきました。
手術に用いる椅子やベッドや椅子、照明や麻酔器の比較的大きな危機に加え、注射器や生検器具、オトスコープなどにも利用されています。
プローブの設計でも3次元CADの活用が進んでいるのが現状です。
近年では義手や義足などの製作のときにもCADによる設計がおこなわれるようになってきています。
医療機器の中でも特に初期から3次元CADの応用されているのが歯科材料です。
ハイブリッドレジンクラウンが保険適用になってからは歯科技工士によるクラウンの設計が重要になりました。
歯型に基づいてCADで技工物を簡単に作成できるようになっています。
口腔内スキャナーを利用することで簡単にCADで設計するために必要なデータの取得が可能になり、歯型を取る患者の負担も軽減されるようになりました。
現在では高精度の歯科技工物を再現性よく1日に満たない期間で患者に提供可能です。
CADが医療関係で重要とされる理由
CADが医療機器の設計で重要とされているのは精密な設計と品質の保証が必要で、CADを使用することによってオーダーメイドの製品も短期間で開発できるからです。
人が手作業で設計するのに比べて迅速な設計をコンピューターによって再現性よく作り上げることができます。
必要なデータを取得すればオーダーメイドの設計も自動化することが可能で、医療現場における業務効率化も実現できるのがメリットです。
設計におけるヒューマンエラーを減らし、安全性の高い医療機器を設計・提供できるようになるのがCADの応用が進められている理由です。
医療用語の「CADとは」
医療用語で用いられるCADは設計ソフトとしてのCADとは違いがあります。
医療業界では2つの意味でCADという言葉が用いられているので簡単に確認しておきましょう。
冠動脈疾患
冠動脈疾患(Coronary Artery Disease:CAD)は循環器内科や心臓外科などでは頻繁に用いられている医療用語です。
心臓に血液を供給している冠動脈に支障を来すことによって生じる疾患はすべてCADに該当します。
典型的なのはアテローム性動脈硬化や冠動脈炎、冠動脈の痙攣や血栓症などで、複合的に因子が重なって心筋梗塞などの重篤な疾患を引き起こすリスクがあります。
初期症状としては虚血性心疾患の労作性狭心症や、動機や息切れなどが一般的です。
加齢に伴って進行することが多く、心臓発作によって命を失っている人や、後遺症が残っている人もいます。
コンピューター支援診断
設計ソフトのCADに近い意味の医療用語としてコンピューター支援診断(Computer-Aided Diagnosis)があります。
医師が診断をするときにコンピューターを活用する方法を一般的に指します。
特に画像診断でCADが活用されることが多く、X線やCT、MRIなどでの応用が代表例です。
画像診断においては医師が読影をして診断を下しますが、見落としをするリスクがあります。
コンピューターによる画像認識技術で病変や病巣をハイライトしたり、悪性度を数値化して表示したりすることが可能です。
医療に役立つCAD作品3選
医療ではCADソフトによる医療機器などの製作が進められています。
ここでは医療に役立つCADソフトを厳選して紹介します。
Fusion360
Fusion360はAutodeskによって提供されている3次元CADソフトです。
3次元のモデリングを簡便におこなえるだけでなく、解析ツールまで搭載されているので機能として十分なセットになっています。
クラウドサービスなのですぐに導入可能なのもFusion360のメリットです。
ローエンドのCADソフトの中で汎用性が高く、医療応用にも十分に対応できる精密性を持っています。
AutoCAD Plus
AutoCAD PlusはAutodesk社によって提供されている業種別ツールセットを整えているハイエンド向けのCADソフトです。
医療特化のツールはありませんが、機械設計は搭載されているので医療機器の開発に活用できます。
高度でありながらも操作性が高いことで人気があるソフトです。
Solidworks
SolidworksはSolidworks社が提供している3次元CADソフトとして根強い人気があります。
継続的なアップデートが続いていて、ニーズのある機能を次々に搭載しているのが特徴です。
SolidworksはミドルエンドのCADソフトとして幅広い業界で利用されているソフトです。
医療機器の設計でも必要十分な機能が揃っています。
医療に役立つCADについて まとめ
医療でのCADは設計におけるCADとは意味が違います。
しかし、設計ソフトのCADも医療に大きな貢献をしていて、医療機器の設計では欠かせないものになっています。
医療では冠動脈疾患やコンピューター支援診断との違いを理解して、コンピューター支援設計も活用していきましょう。