無料で使えるCADソフトの中に、Jw_cadというものがあります。無料でありながら、高い性能があるため、ビジネスでも使用されることが多いCADソフトです。
そのJw_cadの基本的な機能や、使用するメリットとデメリットなどについて、詳しく解説していきます。
2Dの製図ができるJw_cad
Jw_cadとは、主に平面での2D設計が行えるソフトです。1997年に、日本のエンジニアによって作られました。
フリーソフトなので誰でも無料で使用することができますが、機能面としては有料ソフトと並ぶ程の性能があります。そして、開発に建築家が参加したということで、建築関連の設計に使える機能が多いです。
実際に、建物や電気水道の図面作成で使用されている例は数多くあります。しかし、建築に限定したCADソフトではないため、2D設計が必要な場面には幅広く対応可能です。
Jw_cadの代表的な機能
Jw_cadには数多くの機能が搭載されていますが、その中でも代表的なものをご紹介します。
平面への描画機能
Jw_cadの基本と言えるのは、平面への描写機能です。マウスを使用して、クリックやドラッグをするだけで、簡単に直線や円などの図形を描くことができます。
複数の図形をまとめて移動させたり、すでに描いた図形のサイズを変えるといった機能も使用可能です。全ての描画機能を使いこなせば、効率的な平面製図ができるでしょう。
コマンドを簡単に呼び出せるクロックメニュー
Jw_cadでは、マウスを使って様々なコマンドを呼び出せる、クロックメニューという独自機能が備わっています。時計のように表示された12通りのメニューに、様々なコマンドを登録可能です。
クロックメニューを使いこなせば、最大で48個のコマンドを、ショートカットで呼び出せます。わざわざツールバーから選択する手間を省いて、効率的に製図ができるでしょう。
日影図の作成機能
Jw_cadには、日影図を作る機能も備わっています。主に建築関係の設計で重宝される機能です。
建物に日光が当たった場合、どのような形で影ができるかを表せます。日光の位置は自由に決められるため、様々なシミュレーションに使用可能です。
包絡処理
Jw_cadで複雑な図面を描いた場合、指定した範囲内の線を一部非表示にできる機能です。日影図の作成と共に、主に建築関係で積極的に使用されます。
建築では、柱や壁だけを表示させた図面が必要になる場合が多いです。その時に包絡処理を使用すると、元の図面に手を加えずに、必要な図面を簡単に用意できます。
2.5Dの作図
Jw_cadは2D作図用のCADソフトなので、立体的なモデルを作る機能は搭載されていません。しかし、平面に立体的な図を描く、2.5Dの機能はあります。
立体的な図を描く場合、パースなどを考えながら慎重に進めなければいけません。けれど、Jw_cadであれば平面図を元に、半自動で立体的な図を用意できます。
同じ図面であっても、視点を変えた立体図を作れるため、簡易的な図面の確認に役立つでしょう。
Jw_cadの基本的な使い方
Jw_cadの基本的な使い方は、とてもシンプルです。では、Jw_cadがパソコンにインストールしてある状態で、簡単な製図を行う方法を解説します。
図面枠を作成
Jw_cadで効率的に製図をするためには、まず図面枠の作成が必要です。
- 「印刷」タブから「プリンターの設定画面」を選択してください。
- その後で何も手を加えずに「OK」を押します。そうすると、印刷範囲を表す枠が出てくるはずです。
- その枠は縦向きになっているので、「回転」タブを押して横向きにしましょう。
- 最後に「枠書込」タブを選択すると、印刷枠がそのまま図面枠として定着します。
描画ツールを使って作図
図面枠が完成したら、実際に作図を行いましょう。基本的には、画面左側にあるメニューから、ツールのアイコンを選択して描画をしていきます。
描画作業そのものは、一般的なペイントツールと変わらず、ドラッグが基本です。マウスをクリックしたところを起点に、マウスの移動に応じて図形が描かれていきます。
もし、使いたいツールがアイコンにない場合は、「作図」タブから選びましょう。
必要ない図形を消去
Jw_cadを使用していると、描画ミスや下書きなどで、図形を消去しなければならないことがあります。その場合は、描画ツールと同じメニューにある「消去」を選択しましょう。選択した状態で消したい線をクリックすると、すぐに消えます。
ただ、図形全体ではなく、一部だけを消したいという時もあるでしょう。そのような時は、「消去」を選択して、まずは右クリックで消したい範囲を指定してください。
右クリックを複数回使用すると、消える範囲のみ色が変わるはずです。その部分を左クリックすると、選択した部分だけが消えます。
図形の拡大と縮小
すでに作成した図形のサイズを変えたい場合は、左側のメニューにある「複写」を選択してください。そして、サイズを変えたい図形をドラッグで囲み、「選択確定」タブを押しましょう。
その後で、コントロールバーにある倍率の数値を変更します。1より大きい数字にすれば拡大され、1より小さい数字であれば縮小になります。
Jw_cadを使用するメリット
Jw_cadには、数多くのメリットがあります。その中から、特に重要なものをご紹介します。
2DCADに必要な機能が標準で揃っている
Jw_cadは、標準の状態で、必要な機能はひと通り揃っています。複雑な初期設定をしたり、外部ツールを導入したりせずに、すぐに2Dの作図を始められるのが大きなメリットです。
ひと通りの機能の正しい使い方を把握していれば、高度な設計も簡単に行えるでしょう。また、カスタマイズで自分の使いやすい環境を整えることも可能です。
直感的に操作ができる
マウスを使用して、直感的に使えるというのも、Jw_cadの大きなメリットです。パソコンのペイントツールを使用した経験がある人であれば、初心者であっても、特に迷わずに作図ができるでしょう。
そして、豊富な機能は、コマンドとした簡単に呼び出せるものがほとんどです。キーボードで文字を打ち込むような複雑な操作を必要とせずに、簡単に使えます。
使用者が多く学習がしやすい
Jw_cadはフリーソフトなので、使い方を学ぶ場合は自分で情報を集めなければなりません。ただ、Jw_cadはフリーのCADソフトの中でも知名度が高く、使用している人が多いです。
よって、学習に必要な情報を集めやすいというメリットがあります。書籍はもちろん、個人ブログや動画などでも情報を集められるので、自分に合ったスタイルで学習ができるでしょう。
Jw_CADのおすすめ講座に関しては下記記事で解説しています。
Jw_cadのデメリット
Jw_cadを使用する際には、デメリットも知っておかなければなりません。具体的にどのようなデメリットがあるのか、説明します。
3Dの製図ができない
Jw_cadはあくまでも、2Dの製図を行うためのソフトです。そのため、3Dのモデリングができないのがデメリットと言えるでしょう。
2.5D作図機能はありますが、あくまでも平面に立体図を描くだけの機能です。立体モデルを回転させて、あらゆる角度から確認したり、3Dモデルを他のソフトと組み合わせるといったことはできません。
メーカーによるサポートがない
Jw_cadはフリーソフトであるため、有料ソフトのようなサポートがありません。使用している時にエラーが発生したとしても、問い合わせる先がないため、自分で解決方法を探す必要があります。操作を学んでいて、わからない部分が出てきた場合も同様です。
したがって、手取り足取りサポートを受けながら、使い方を学びたいという人にとっては、不向きと言えるでしょう。
拡張性が低い
Jw_cadは標準で豊富な機能が搭載されていますが、その機能を中々拡張させられません。
後から組み合わせられる外部ツールはありますが、建築に関係するものが多いです。そのため、建築関係以外の分野に特化したソフトとして、活用するのは難しいでしょう。
使用するためのハードルが低いJw_cad
Jw_cadは無料のCADソフトなので、対応しているパソコンさえあれば、すぐに使用を開始できます。そのため、まずはインストールしてみて、使い勝手を確かめてみると良いでしょう。
また、数あるCADソフトの中でも使いやすいという強みがあるので、入門用CADソフトとしての使用もおすすめします。