コンピュータ上で製図が出来るCADソフトは、様々な業界で導入されていますが、業界・分野ごとに広く使われているソフトは異なります。
この記事ではCADの種類(分類方法)や、業界別の代表的なCADソフトについて解説いたします。
CADにはどんな種類がある?
世の中には様々な種類のCADが出回っていますが、ソフトごとに出来ることや出来ないこと、価格や操作方法は異なるものです。自身の用途に適してないCADを選んでしまうと、作業効率が下がったり、最悪の場合目的が達成できなかったりします。
基本的にCADの種類は「汎用・専用」「2D/3D」に分けることができます。この2つの分類方法を理解すれば、自身に適したCADが選べるようになるでしょう。
今すぐ使える無料CADをお探しの方は、こちらの記事も参考にしてください。
CADの種類汎用と専用とは
CADの種類を分類する方法はいくつかありますが、ここでは世の中に流通しているCADを「汎用CAD」と「専用CAD」に分けて考えたいと思います。
汎用CADとは
汎用CADとは文字通り、汎用性が高く、幅広い業界・分野のニーズに対応しているCADです。
製図に必要な基本性能が搭載されているため、機械や建築、電気やデザインなど、様々な分野での製図に使えます。
価格も比較的安価で、導入のハードルも低いです。図面を一通り編集・印刷するだけなら汎用CADで十分事足りることも多いです。
一方で汎用CADは特定の業界に特化した機能に乏しく、特定の部品や要素が必要となる製図には向きません。そうした製図を行いたい場合には、専用CADの導入が必要となります。
ちなみに、日本で広く使われている汎用CADには「AutoCAD」や「Jw_cad」、「BricsCAD」などがあります。
AutoCADは日本屈指のシェアを誇る、オートデスク社のCADです。業界最高水準の使いやすさと豊富なカスタマイズ性が特徴で、多くの業界で使用されています。
またAutoCADは近年、より正確な作業を効率的に進めるための、「自動化」のスキル習得にも注目が集まっているのはご存じでしょうか。スクリプトを用いた方法のほか、LISPというプログラミング言語を用いた方法でも実現できますが、こうしたスキルを習得するなら、以下のようなセミナーがおすすめです。
Jw_cadは、日本の国産CADです。国産であるがゆえに日本人に使いやすい設計になっています。無料で使えるのも嬉しい所。
BricsCADはベルギーのBricsys社が開発を手掛けています。日本語を含む15ヶ国語に対応しており、AutoCADと高い互換性を持っているのが特徴です。
専用CADとは
専用CADとは、分野別に特化した機能を実装したCADです。
特定の用途において、製図をより効率的に、簡単に行える仕組みになっています。
例えば建築CADの場合、ドアや窓、通り芯(壁や柱などの中心を通る線)、階段などを簡単に作図できる機能が搭載されていたりします。
専用CADは汎用CADと比べて高度な機能を持つものが多く、それ故に価格も高めに設定されていることが多いです。
学ぶのに必要な時間もかかりがちですが、一旦学んでしまえば汎用CADよりも高度に、快適に使えるのが特徴です。
日本で広く使われている専用CADには「Revit(建築向け)」や「Inventor(機械向け)」などがあります。Revitは未経験でも使いやすい、建築用3DCADです。
CADの種類2Dと3Dの違い
CADの種類は「2D」と「3D」にも分類できます。
2DCADとは
2DCADとは、立体物の形状を一方向から見た2次元の図面を作成するためのCADです。具体的には、立面図、平面図、断面図などを作成するためのものです。
従来は手書きで行っていた製図をコンピュータ上で行なうものであるため、3DCADとくらべると理解しやすく、また習得にかかる時間も短くて済みます。導入のためのコストも低く、無料で使えるものも少なくありません。
一方で、実際には3次元の物体を2次元で製図しているため完成イメージが掴みづらい、別の方向から見た図面が必要な場合は改めて製図をする必要があるなどのデメリットもあります。
3DCADとは
3DCADとは、仮想空間上に立体物を作成するためのCADです。作成した立体物はコンピュータ上で回転させられるため、完成形のイメージがし易いのが大きなメリットです。
データの解析や検証なども事前に行える上、修正の手間もかかりません。
一方で2DCADとは操作方法が大きく異なるため、慣れるまでに時間がかかるという欠点があります。
また、取り扱うデータのサイズが2DCADとくらべて大きいため、求められるPCのスペックが高くなりがちです。CAD自体の導入コストも高いため、便利だとわかっていてもそう簡単には導入できません。
2DCADと3DCADの違いについて、もっと深堀りしたい方はこちらの記事を参考にしてください。
業界別のCAD種類
ここでは、様々な業界で使用されているCADを紹介していきます。
建築業界向けCAD
建築業界はCADの導入が進んでいる業界のひとつです。特に有名なCADに「AutoCAD Architecture」や「VectorWorks Architect」などがあります。
AutoCAD ArchitectureはアメリカのAUTODESK社が開発・販売している2D/3D両対応CADソフトです。
世界トップシェアを誇る高性能かつカスタマイズ性に優れるCADで、日本でも多くのゼネコンや建築事務所が導入しています。8800点以上の建築コンポーネント(部品)、2次元図面の自動作成など、建築向けの性能が非常に充実しています。
VectorWorks Architectは高性能な2D/3DCADです。建築設計や内装、ディスプレイデザインなどにも対応しており、絵を書くような感覚で使えるのが大きな特徴です。
adobe製ソフトとの連携にも優れています。
機械業界向けCAD
機械業界でよく使われているCADソフトは「ONSHAPE」と「SOLIDWORKS」です。
ONSHAPEは機械設計に必要な作業を全てクラウド上で完結できる3DCADです。高スペックな端末や最新のOSがなくても使えます。データをクラウド上に保存するため、世界中のどこからでも作業が可能です。
SOLIDWORKSは使い勝手の良さをテーマとしており、工業高校向けの安価なライセンスを提供しています。全世界350万ライセンス、日本国内20万ライセンス、顧客満足度90%以上の人気ソフトです。
回路設計向けCAD
回路設計の場で広く使われているのが「Circuit Designer」です。電子回路の図面を簡単に作成できるうえ、過去に設計した回路をモジュール化できるため、生産性を高められます。
ミスなく運用ルールを考慮した設計ができるため、設計のハードルが下がります。
様々な種類のCADの使い方を学ぶ方法
CADは独学で身につけるのが比較的難しい分野です。よほど熱心な人でもない限りは、テキストで学ぶよりも人にやり方を教わりながら少しずつ操作に慣れていったほうが結果的に早く覚えることができます。そういった意味では、セミナーに通うというのは有力な手段です。
セミナーと一口に言っても様々な種類がありますが、おすすめはここまで紹介してきたProSkilllのセミナーです。
いずれも2日間でCADの使い方を学べるため、短期間でCADを習得したい方は参加してみましょう。
CADの種類についてまとめ
CADには汎用CAD/専用CAD、2DCAD/3DCADなど様々な種類があります。大切なのは、自身の用途にあったソフトを見つけることです。
操作がわからないというときは、セミナー等で学ぶとよいでしょう。