医療現場では、日本語を満足に使えない人と意思疎通をするために、通訳が必要になることがあります。
医療通訳では、ただ単純に外国語を使えるだけでなく、医療に関する専門知識も必要です。
そのため、医療通訳を専門的に取り扱った講座が、数多く開催されています。
では、どのような講座があるのか、医療通訳が活躍できる場所などと一緒に、確認していきましょう。
医療従事者と患者の間に入る医療通訳
医療通訳とは、主に医療従事者と患者の間で行う通訳です。
日本の医療機関を利用する外国人患者は、日本語を話せない可能性があります。
けれど、病状の説明や指導など、コミュニケーションは取らなければなりません。
そのような場合に、医療通訳が必要です。
また、海外で、外国人医師と日本人患者の間で、橋渡しをするために医療通訳が求められる場合もあります。
正確に通訳するスキルと文化への理解が必要
医療現場では、様々な専門用語が使われます。そのため、日常会話よりも高度な通訳スキルや知識が必要です。
そして、少しの意思の相違が、人の命に関わる可能性があります。そのため、正確に通訳しなければなりません。
さらに、外国は日本とは異なる文化であることが多いため、異文化を理解した上で翻訳する技術も必要となります。
また、医療通訳はあくまでも、医療従事者と患者の言葉を翻訳するのが役割です。したがって、自分の意思や感情を排除して、通訳を行うことも重要視されます。
医療通訳はどのようにして学べば良いのか
医療通訳を学びたいけれども、具体的にどうすれば良いのかがわからないという人も多いでしょう。そのような人に向けて、医療通訳の学び方を簡単に解説します。
外国語の基礎を身に付けてから医療用語を学ぶ
地道に医療通訳のスキルを身に付けたい場合は、まず外国語の基礎を学んでから、医療通訳を学ぶと良いでしょう。
特に外国語が全く話せない人が独学する場合、医療通訳から始めるのは難しいです。専門用語が多く使われるため、挫折してしまうかもしれません。
そのため、基礎から順序よく進めていった方が無難です。
講座で外国語の基礎と医療通訳を同時に学ぶ
講座を利用すれば、外国語の基礎と、医療通訳を同時に学ぶことも不可能ではありません。
もちろん最初は基礎から始めますが、早い段階で医療通訳の学習へとシフトできるでしょう。
そして、ネイティブスピーカーの講師の指導を受ければ、リスニング力を高め、正しい発音ができるようになることも難しくありません。
そのため、なるべく効率的に医療通訳のスキルを身に付けたい人に向いています。
医療機関に所属しながら外国語を学ぶ
医療機関の窓口など、医療に関する仕事をしながら、同時に外国語を学ぶという方法もあります。
医療現場であれば、どのような用語が使われているのか、把握がしやすいでしょう。そのため、効率的に医療通訳のスキルを身に付けられる可能性があります。
そして、身に付けた医療通訳のスキルを、そのまま職場で活かすということも不可能ではありません。
医療通訳講座3選
それでは、医療通訳について学べる講座を、3つご紹介していきます。
セミナー名 | 社名 | 価格 | 特徴・ポイント | 受講形式 | 開催場所 | 講座時間・回数 | 教材・テキスト |
---|---|---|---|---|---|---|---|
HLCA オンライン英語スクール | HLCA | 139,000円〜 | 業界最多カリキュラムからレッスンを個別オーダーメイドできるシステムを採用。職種に最適化された英語を学ぶことができます。 | オンライン | オンライン | 週1回〜 | あり |
日本医療通訳アカデミー | 日本医療通訳アカデミー | 8,250円〜 | 医療通訳技能検定試験に対応。一次試験合格率は95%と非常に高い数値となっています。 | オンライン | オンライン | 週2日〜 | あり |
EF ENGLISH LIVE | EF ENGLISH LIVE | 8,900円/月 | ネイティブ講師が親切にサポート。ネイティブならではの正しい発音やアクセントに触れながら「本物の英語」が身に付きます。 | オンライン | オンライン | 月8回〜 | あり |
HLCA オンライン英語スクール
HLCAは、医療英語を専門的に取り扱っているスクールです。
複数の講座が提供されていて、オンラインで英語を学べるものもあります。
HLCAのオンライン英語スクールはオーダーメイド式になっていて、医師や歯科衛生士など幅広い人がターゲットです。
そして、医療通訳に関する内容の講座を作ってもらうこともできます。
講師となるのは、大学で医療に関する内容を学んだ人や学位を持った人などです。一定の条件を満たした、専門的な知識を持った人に教えてもらうことができます。
講座は1回50分のオンライン形式で、受講する度にチケットを消費するチケット制となっています。
そのため、毎回決まった時間に受講する必要がなく、自由なスタイルで学習を進めることが可能です。
夜間レッスンにも対応しているため、仕事と両立しながら医療通訳について学ぶことも不可能ではないでしょう。
さらに、HLCAを利用する人向けのオンラインコミュニティも用意されています。医療英語を学ぶ人同士が情報交換をしたり、励ましあったりして、モチベーションを維持できます。
日本医療通訳アカデミー
英語あるいは中国語の通訳を学ぶことができる講座です。
主にオンラインで受講する形で、多種多様な講座が用意されています。
特徴的なのは、医療現場を想定したロールプレイを選べる点です。リアルなシチュエーションで学ぶことで、より実践的なスキルを身につけられるでしょう。
もちろんロールプレイは必須ではなく、座学のみの講座も選べます。
その他にも、医療通訳技能検定試験の合格を目指した講座もあり、実績を獲得するために利用することも可能です。
日本医療通訳アカデミーは、医療通訳技能検定試験だけでなく、ICM認定医療通訳士制度や厚生労働省のカリキュラムにも対応しています。
そのため、一定の水準を満たせる医療通訳のスキルを身に付けたいと考える人でも、安心して受講できるでしょう。
また、授業の振替制度があるため、スケジュールが不規則になりやすい人であっても、受講を継続できる可能性が高いです。
さらに、受講によって資格を取得した人を対象に、就労支援サポートも行っています。
したがって、身に付けた医療通訳のスキルを、仕事に繋げられる可能性が高いです。
EF ENGLISH LIVE
EF ENGLISH LIVEは、法律や建築など、様々な業界で使用できる専門的な英語を学べる講座です。そして、医療業界の英語を学べるコースも用意されています。
レッスンの内容は個人に合わせて決められるため、医療通訳を学ぶために利用することも可能です。
講座を担当するのは、ネイティブスピーカーだと認定された講師です。
そのため、講座を受けながらリスニング力を高めると共に、違和感のない英語の知識を身に付けられるでしょう。
プランは1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の3通りから選択可能です。予算や必要な習熟度に合わせて選択すると良いでしょう。
いずれのコースも、講師によるプライベートレッスンと、グループレッスンの両方が含まれています。そして、24時間365日体制で講師がスタンバイしているため、自身のスケジュールに合わせた受講が可能です。
プライベートレッスンであれば、仕事終わりの深夜から受講するという選択肢もあります。
学んだ医療通訳を活かせる場所
医療通訳のスキルを身に付けた人は、色々な場面で活躍することができます。
具体的にどのようなところでスキルを活かせるのか、いくつか例を見てみましょう。
医療機関での外国人対応
医療通訳のスキルは、医療機関で活かせることがほとんどです。
日本には数えきれないほどの外国人がやってきますが、その全てが日本語を話せるわけではありません。日本に来る理由としては、観光目的が多いですが、観光の場合は日本語を話せない人の方が多いでしょう。
そのような人を対象にして、医師や看護師の言葉を伝えるために、医療通訳のスキルが役立ちます。
医療機関の中には、外国語を使える医師や看護師を雇用しているところもありますが、その数は決して多くありません。そのため、外国人が大勢訪れる医療機関では、医療通訳が必要とされる可能性は高いでしょう。
日本人が多い海外地域での翻訳
日本語と外国語の通訳スキルは、海外でも活かせる可能性があります。海外にも、日本人は大勢暮らしているからです。
そして、海外で暮らしていても、外国語をあまり話せないという人は少なくありません。急な転勤や家族の仕事の付き添いなどで、十分な会話スキルを持たないまま海外に行く人も多いです。
また、外国語での日常会話はできるけれども、専門用語が含まれる医療関係の会話は難しいという人も大勢います。
そのような人にとって、医療通訳ができる人は重要な存在となるでしょう。特に日本人が多い地域であれば、医療通訳の需要は高いです。
医療ツーリズムのサポート
日本人の中には、日本よりも医療水準が高い国に治療を受けに行く人もいます。そのような医療ツーリズムのサポートにも、医療通訳のスキルを活用可能です。
海外で治療を受けたいけれども、外国語がわからないという人は少なくありません。そういった人と、外国の医療従事者との橋渡しをして、希望する治療を実現させる形です。
また、医療機関での通訳と共に、交通機関や宿泊施設などの通訳や手配をまとめて請け負っている人もいます。
需要が見込める医療通訳
日本には、観光や就業など様々な目的で、外国人が訪れます。
そのような人が、急病や怪我で医療機関を利用することも少なくないでしょう。よって、医療通訳の需要はあります。
また、医療通訳士として、海外で活躍することも不可能ではありません。
そのため、語学が得意な人は、講座で医療通訳を学び、実務レベルのスキルを身につけることを考えてみても良いでしょう。