お絵かきアプリやチャットボットなど、社会に影響を与え始めているAI。
AIやディープラーニングの知識や活用法をもっと多くの人々に知ってもらい、さまざまな現場に役立てる社会実装が喫緊の課題となっています。
認知度を高め、社会実装を推し進めるために2018年に始まったのが、ディープラーニングに特化した民間資格である「E資格」です。
今回はE資格についてとE資格に役立つ講座を紹介します。
「E資格」とは
「E資格」は一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が行っている民間資格です。
「E」は「エンジニア(Engineer)」の略です。
ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有しているかを認定する資格となっています。
「E資格」はオンライン受験、もしくは試験会場受験です。
年2回のペースで行われ、毎年2月と8月に試験が実施されています。
試験形式は記述式ではなく、四択問題からなっています。
試験時間は2時間で、約100問程度の問題が出題されるため、1問1分程度で回答しなければなりません。
また、2022年度第2回より、プログラミング言語PyTorchまたはTensorFlowを利用した実装も扱っています。
受験後、試験のおおよそ3週間後までに、合否結果が通知されます。
「E資格」の受験資格
「E資格」を取得するには、ただ単にテストにパスすればいいわけではありません。
「JDLA認定プログラムを試験日の過去2年以内に修了している」という受験資格を満たす必要があります(受験資格を延長することは可能)。
「E資格」の合格率・合格者数
合格率は例年70%程度で推移しています。
2023年までに累計5,000名以上の合格者を出しています。
「E資格」の受験難易度
「E資格」は難易度の高い資格として知られています。
受験者を対象にしたあるアンケートによると、「E資格」は”応用情報技術者試験と同程度の難易度”と捉えられているようです。
応用情報技術者試験は合格率20%台の国家資格で、高い難易度を誇ります。
また、「E資格」の受験者の勉強時間は100~200時間が45.6%、200~300時間が42.7%となっています。
これらのことから、「E資格」を取得するには、しっかりと準備期間をとって対策をとることが重要なことがわかります。
「E資格」の受験費用
受験費用は以下となっています。
- 一般:33,000円
- 学生:22,000円
- 会員:27,500円
JDLAとは?
「E資格」の正式名称は「JDLA Deep Learning for ENGINEER」です。
「E資格」の受験にあたっては、検定試験の実施団体であるJDLAについても抑えておくとよいでしょう。
JDLA(Japan Deep Learning Association、日本ディープラーニング協会)は2017年に設立された一般社団法人です。
JDLAの設立目的は「ディープラーニングを中心とする技術による日本の産業競争力の向上を目指す」ことです。
日本におけるディープラーニング業界の第一人者と知られる、東京大学の松尾豊教授が理事長として旗振り役を務めています。
JDLAの構成員は、ディープラーニングを事業の核とする企業および有識者です。
産業活用促進、人材育成、公的機関や産業への提言、国際連携、社会との対話など、産業の健全な発展のための活動を行っています。
「E資格」が受講できる講座
以下に、JDLA認定プログラムとして「E資格」が受講・取得できる講座を列挙します。
セミナー名 | 社名 | 価格 | 特徴・ポイント | 受講形式 | 開催場所 | 講座時間・回数 | 教材・テキスト |
---|---|---|---|---|---|---|---|
機械学習オンライン/ディープラーニングオンライン | ![]() 株式会社 zero to one | 66,000円 |
| オンライン | オンライン | 30〜50時間程度 | ビデオ教材 教材用スライド |
現場で使えるディープラーニング基礎講座 | スキルアップAI株式会社 | 55,000円 |
| オンライン | オンライン | 16時間 | 動画 |
E資格対策ディープラーニング 短期集中講座 | ![]() ProSkill | 184,800円 →キャンペーン価格 54,780円~ |
| 会場受講 オンライン | 東京 オンライン | 約30時間、全73チャプター | オリジナル教材「E資格完全攻略テキストブック」&試験直前まで役立つ「暗記用のテキスト資料」 |
実務で使える ディープラーニング講座(E資格対応) | ![]() 株式会社Fusion One | 98,000円 |
| オンライン | オンライン | 6ヶ月間 | 動画 |
Deep Learning 入門【JDLA E 資格対応】 | 株式会社すうがくぶんか | 24,500円/月 |
| オンライン | オンライン | 週1回2時間を半年間 | オリジナルテキスト |
E資格対応パッケージプラン講座 (動画セット_2023年4月新規認定_教育訓練給付金:最大70%OFF) | ![]() エッジテクノロジー株式会社 | 229,900円 (教育訓練経費を受けると自己負担分68,970円) |
| 動画 | オンライン | 58.5時間 | 動画 |
全人類がわかるE資格コース | 株式会社AVILEN | 149,600円 |
| 動画 | オンライン | 19時間、計530問以上の試験対策問題が受け放題 | 動画 |
以下は、各講座の内容説明になります。
「機械学習オンライン/ディープラーニングオンライン」
履修要件として、微分積分、線形代数(ベクトル、行列)、確率統計、Pythonのプログラミングの基礎知識が必須です。
演習問題が提供されます。
「現場で使えるディープラーニング基礎講座」
JDLA認定プログラム第1号として累計1,000名以上のE資格合格者を輩出しています。
対策問題集の著者が講師を務め、東京大学大学院の杉山将教授が監修。
Notebook解説動画、1,000以上の過去Q&Aストック、PyTorch講座、勉強会と充実の内容です。
「E資格対策ディープラーニング 短期集中講座」
事前オンライン学習で数学や機械学習、Pythonの基礎知識を身につけます。
「実務で使える ディープラーニング講座(E資格対応)」
Pythonの基礎知識やプログラミング経験はあるものの、AI開発の具体的な方法が分からない方にオススメの講座です。
「Deep Learning 入門【JDLA E 資格対応】」
ディープラーニングの基礎から応用までをPythonを使いながら実践的な形式で学べます。
「E資格対策ディープラーニング 短期集中講座」
E資格対策ディープラーニング短期集中講座は講師やメンターに常時質問できるチャットサポートや、夜間時間帯のメンターや学習アドバイザーによるオンライン面談などサポートが充実しています。
「全人類がわかるE資格コース」
2023年の合格者シェアは31%の人気講座です。
大手企業など100社以上に導入されており、AI実装からビジネスまで精通したAIスペシャリストが、初学者にもわかりやすく解説します。
上記以外の講座(大学院)
上記以外に受講・取得する方法として、たとえば情報工学分野の大学院生として、「E資格」を受講・取得することもできます。
中部大学や東京大学の大学院の専攻・研究室がそれぞれJDLA認定プログラムとして認定を受けています。
したがって、そちらの講座でも「E資格」を受講・取得することができます。
E資格講座の選び方の注意点
E資格講座は下記に注意して選びましょう。
- JDLA公認である
- 価格が予算内である
- 内容が思ったものである
などの項目が重要です。AIやディープラーニングに詳しくないと内容は分かりづらいかもしれませんが、よく調べて吟味するといいです。
「E資格」を取得するメリット
「E資格」を取得すると、以下のようなさまざまなメリットがあります。
- 機械学習を幅広く学ぶことができる
- 問題解決のアイディアが浮かびやすくなる
- 現実の問題に応用し、実装できるようになる
- AIの設計・構築や、ビッグデータ処理分野で活用できる
- AIエンジニア、データサイエンティスト、ゲームプログラマーなどになれる
「E資格」講座の口コミ
フォローアップ対策もして頂いたので、新たな演習問題も解くことができ、より理解も深まりました。
なによりも、試験対策問題が秀逸で、理解を深める上で大いに役立ちました。
講師の説明も丁寧で分かりやすかったです。
まとめ
近年のAIへの関心や社会的要請の高まりから、ディープラーニングのエキスパートに必要なスキルを証明する資格である「E資格」は現在需要が高まっています。
「E資格」の取得に向けたさまざまな講座をご紹介しましたが、受講形式・受講時間・スタイル・費用などの特徴は各講座によって違います。
ご自身に合ったものをよく検討してください。
また、「E資格」は取得までの期間が決められているので、受講後はできるだけ早く取得するようにしましょう。
「E資格」を取得することで、ITエンジニアとしてのスキルアップや、転職に有利な条件を得ることにつながるとよいですね。