Googleが開発したGeminiは、テキスト、画像、音声、動画など、多様な情報理解を実現する「マルチモーダル」な生成AIとして注目を集めています。
画像や音声を使った質問に対応できる「Geminiアプリ」、Google検索結果を要約する「Googleオーバービュー」は、Geminiの技術・機能を活用した代表的な例といえるでしょう。
この記事では、Geminiの無料利用の有無や使い方、ChatGPTとの違い、そして注意点まで詳しく解説します。Geminiを使いこなし、業務効率化を極めたい方はぜひ参考にしてください。
生成AIのGeminiとは
Geminiは、テキストや画像、音声、動画を統合処理するマルチモーダル生成AIです。
例えば、食卓に並んだ料理の写真をアップロードするだけで、栄養バランスを考慮したレシピを提案してくれます。最新ニュース動画を解析し、短時間で内容を要約してくれるのもGeminiならではです。
さらに、Geminiの音声テキスト化機能を使えば、文字入力の手間から解放され、声でスムーズに文章を作成できます。そして、文字起こしした文章にリライトを指示すれば、まるでプロのライターが書いたかのように、洗練された文章へと瞬時に変換してくれます。
Geminiの活用例
Geminiはどのようなシーンで使われているのでしょうか?ここでは、Geminiの主な活用例を簡易表にまとめました。
情報検索 | テキスト、画像、音声など、多様な情報から必要な情報を効率的に検索 |
コンテンツ生成 | 文章、画像、動画などのコンテンツを生成 |
業務効率化 | メールやドキュメント作成、データ分析などを効率化 |
アプリ開発 | AppSheetのノーコードアプリ開発、Google Cloudでのアプリケーション開発・運用サポート |
Geminiは、上記表「アプリ開発」にある、AppSheetやGoogle Cloudなど、Googleが展開する広範な生成AIサービス群の中心的役割を担い、各サービスと密接に連携しています。
Googleの生成AIサービスは以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
生成AIのGeminiは無料?
「生成AIのGeminiは無料?」という疑問をお持ちの方も多いでしょう。結論からお伝えすると、Geminiは無料と有料の2つの利用形態があります。
Gemini無料プランの魅力
Geminiの無料プランの魅力は、基本的に回数制限がないこと、かつ基本機能は十分に満たしていることです。
一般的な生成AIサービスは、回数制限などを設け、繰り返し使えなくなる、または有料プランへ移行を促されるというケースがありますが、Geminiにはこれらの制約を気にせずに対話を続けられます。例えば、長文の要約や複雑な質問を何度も行いたい場合に効果的です。
なお、より高度な機能やビジネスでの利用を検討されている方には、有料プランも用意されています。まずは、無料プランでGeminiの可能性を十分に試してから、必要に応じて有料プランを検討するのも良いでしょう。
Geminiの3種類のモデルと料金プラン
Geminiの3種類のモデルとプラン、料金設定を一覧表で紹介しましょう。
モデル | プラン名 | 料金 | 容量 | 主な機能 |
Gemini Pro | Googleアカウント | 無料 | 15GB | 文章作成、計画、学習などのサポート、NotebookLMの利用 |
Gemini Ultra | AIプレミアム | 2,900円/月 | 2TB | Gemini Advanced、Googleアプリ(GmailやGoogleドキュメントなど)との統合強化、NotebookLM Plusなど |
Gemini Nano | ー | 無料 | ー | オンデバイスで動作するモデル、直接的な利用料金は発生しない、Pixel 8 Proに搭載 |
引用元:Google One
なお、有料プランは、無料プランの機能にすべて対応可能です。また、最初の1ヶ月は無料で利用できます。料金やプラン内容は変更される可能性がありますので、最新情報は公式サイトでご確認ください。
Geminiの種類
生成AI・Geminiは、さまざまな用途に対応するために3つの種類があります。それぞれのモデルは異なる特徴を持ち、先ほど紹介したプランによっても使用モデルが違います。
①Gemini Pro
Gemini Proは、バランスの取れた実用的なモデルです。文章作成や情報整理、プログラミングのサポートなど、幅広い用途に対応します。
Googleアカウントがあれば無料で使えるので、ビジネスシーンはもちろん、日常的な調べものから資料作成まで気軽に活用できます。処理能力が高く生成もスピーディな使い勝手のよいモデルです。
②Gemini Ultra
Gemini Ultraは、より高度な作業に対応できるGeminiの中で最も高性能なモデルです。このモデルは、Geminiの有料版であるGemini Advancedで提供されており、専門分野の分析や高度な問題解決に強く、特に研究者やプロフェッショナル向けに設計されています。
例えば、医学や法律に関する詳しい調査、または複雑なデータ分析などの場面で力を発揮します。最先端のAI技術を活用しているため、難しい質問にも的確な回答を出力できるモデルです。
③Gemini Nano
Gemini Nanoは、スマートフォンやタブレットなどのデバイス上で直接動作する、軽量かつ効率的なAIモデルです。例えば、チャットアプリでの返信候補の自動生成、音声からのリアルタイム文字変換機能など身近なシーンで活躍します。
従来のクラウドベースのAIとは異なり、デバイス自体にモデルを組み込む「オンデバイス型」なので、別途料金は必要ありません。Pixel 8 Proに搭載されており、インターネット接続がない環境でも、高速かつ安全にGeminiの生成AI機能を使えます。
生成AIのGeminiの使い方
では、Geminiの使い方を紹介しましょう。
- Geminiにアクセス
- アカウントを選択
- 本人確証を実施
- ログインが完了
- 下部にプロンプトを入力
- プロンプトを入力
- プロンプト入力欄の右「紙飛行機型アイコン」をクリック
- 回答を生成
画像生成する場合、プロンプトに「○○の画像を生成してください」と入力しましょう。
生成AIのGeminiとChatGPTとの違い
生成AIを代表するGeminiとChatGPT。どちらを選ぶべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。両者の違いを理解することは、最適な選択をする上で重要です。
ここでは、GeminiとChatGPTの違いを一覧表にまとめ、それぞれの特徴を簡潔に解説しましょう。なお、どちらの生成AIツールも多言語対応で、料金プランは無料と有料の2種類あります。
項目 | Gemini | ChatGPT |
運営元 | OpenAI | |
主な特徴 | テキスト、画像、音声、動画など、多様なデータを統合的に処理 | 自然な対話など、テキストベースのタスクに強み |
情報鮮度 | Google検索との連携により、最新の情報を提供 | 2021年9月まで(有料版は2023年4月) |
活用例 | 画像認識、音声処理、多言語翻訳、Googleサービスとの連携など | チャットボット、文章作成、翻訳、質問応答、プログラミングのサポートなど |
APIの提供 | あり(Google Cloud Platformを通じて提供) | あり |
生成AIのGeminiを使うメリット
ChatGPTとGeminiの違いを理解したところで、Geminiを使うメリットについて詳しく知りたい方もいるでしょう。以下では、数ある生成AIツールの中で、Geminiを選ぶメリットについて解説します。
- 無料プランの場合は回数制限を気にしなくていい
- YouTube動画の内容を解説してくれる
- クリアで鮮明な画像を生成できる
①無料プランの場合は回数制限を気にしなくていい
Geminiの最大の魅力は、無料プランの場合は回数制限を気にせず利用できる点です。ChatGPTやClaudeなどの一般的な生成AIサービスは、無料プランに利用回数制限が設けられています。
例えば、ChatGPTの場合、GPT-4の利用回数制限が終了すると、GPT-3.5に切り替わります。Claudeにも同様に回数制限があり、継続的な利用には不適です。
しかし、Geminiの無料プランには基本的に回数上限がありません。テキスト生成はもちろん、画像生成においても同様です。他の生成AIサービスでは、画像生成の利用回数は特に制限されがちなので、テキスト・画像生成どちらのユーザーにとってもメリットが大きいといえるでしょう。
②YouTube動画の内容を解説してくれる
生成AIツール・Geminiを利用するメリットは、YouTube動画の内容を解説してくれることです。Geminiでは、YouTube動画のリンクをプロンプト欄に貼り付け、「内容を教えて」と指示するだけで、動画の内容を分かりやすく解説してくれます。
この機能は、全てのYouTube動画に対応するわけではありませんが、多くの動画の内容を詳細に教えてくれるため、時間がない場合に非常に役立ちます。長時間のYouTube動画の内容を知りたい場合にもおすすめです。
一方、ClaudeはYouTube動画の内容要約には対応していません。ChatGPTは、近年同様の機能が追加されましたが、解説の精度や詳細さにはばらつきがあり、動画のリンクがそのまま表示される場合もあります。
③クリアで鮮明な画像を生成できる
生成AIツールの中で、Geminiを使うメリットの一つは、鮮明な画像を生成できることです。
上記画像は、「20代 日本人女性 黒髪ロングヘア」というプロンプトで作ったGeminiの画像ですが、特に「写真風」と指示しなくても写真と見間違うほどリアルでクリアな画像を生成してくれました。
これは、他の生成AIツールが比較的イラスト感が残る画像を生成するのとは対照的で、Geminiならではの魅力といえるでしょう。なお、Googleの画像生成AIツールである「ImageFX」も同様の画像を生成します。
ちなみに、Geminiが人物生成に対応するようになったのは2025年2月~3月からでした。実は、Geminiはもともと人物も生成していたのですが、2024年に一時中止しています。このように、Geminiはまだ開発途上の段階であり、今後さらにアップデートすることが期待されます。
生成AIのGeminiを使う注意点
続いて、生成AIのGeminiを使う際の注意点について解説しましょう。
- リスト形式で出力される
- 誤情報生成のリスクがある
- 著作権侵害の可能性
①リスト形式で出力される
生成AI・Geminiを利用する際の注意点として、リストアップされたテキストを生成するケースが多い点が挙げられます。Geminiは読みやすさなどを考慮し、回答を端的にまとめる際にリストアップして回答しがちです。
そのため、まとまった文章で生成してほしい場合は、その都度「箇条書きを使わずに」と指示する必要があります。また、一度指示しても再度生成する場合、リストとして表示されることがあるため、まとまった文章で生成したい場合は手間がかかることを考慮しておきましょう。
②誤情報生成のリスクがある
Geminiを利用する際は、誤情報生成のリスクを理解しておきましょう。これは生成AI特有の「ハルシネーション」と呼ばれる現象であり、あたかも真実を述べるかのような文体で、事実とは異なる情報を出力することがあります。
近年、Geminiの進化とともに誤情報生成のリスクは以前よりも軽減しましたが、やはり生成内容がすべて正確というわけではありません。特に、法律や医療、年代、商品の価格など、正確性を重視する情報を入力する際は、必ず他の情報源も参照して情報の真偽を確認しましょう。
③著作権侵害の可能性
生成AI・Geminiを使って画像を作る場合、著作権を侵害する画像を生成する恐れがあります。例えば、具体的な商品名や既存のキャラクター、商品に類似した画像を生成するなどです。これは、プロンプトを意図的に入力しない場合でも、Geminiが独自に出力することがあります。
なお、著作権侵害に当たる画像を生成した場合、個人利用であれば問題ありませんが、商用利用の場合は著作権侵害で訴えられる可能性があります。生成された画像の著作権は生成者本人に帰属するため、商用利用する場合は必ず権利の信憑性を確認してください。
生成AIの利用に不安を感じる方は、生成AIの適切な使い方を実践的に学べる生成AIセミナーがおすすめです。生成AIを使った情報漏洩リスクへの対応、業務効率をアップするプロンプト入力術など、生成AIを安全に、そして最大限有効活用できるスキルを幅広く学べます。
セミナー名 生成AIセミナー 運営元 ProSkilll(プロスキル) 価格(税込) 27,500円〜 開催期間 2日間 受講形式 対面(東京・名古屋・大阪)・ライブウェビナー
以下の記事は、生成AIのリスクとその影響について詳しく解説しています。Geminiの利用を検討している方はぜひご一読ください。
生成AIの進化とGeminiの歩み
生成AIは、近年急速に進化している分野であり、Googleもその開発に力を入れています。その中で、GeminiはGoogleの最新かつ最先端の生成AIモデルとして位置づけられています。
BardからGeminiへ
Googleは自社の生成AI開発を進める中で、DeepMindの研究成果を活用しました。DeepMindはもともとイギリスのAI企業・Alphabetの子会社で、2014年にGoogleに買収され、2023年、会話型AI「Bard」を公開しました。これが現在のGeminiの前身です。
Bardは、Gemini Proを基盤モデルとしており、テキスト生成や質問応答などの機能を提供していました。「Bard」が「Gemini」に名称変更されると発表されたのは2024年2月8日です。そのわずか3カ月後の5月には、より高度な処理が可能な「Gemini 1.5 Flash」が登場しました。
生成AIの歴史はチャットボットから始まる
今ではChatGPTやClaudeと並ぶ、代表的な生成AIとして知られているGeminiですが、そもそも生成AIの歴史は意外と古く、1960年代に登場したチャットボットがその始まりです。
しかし、開発当初は定型的な受け答えしか対応できませんでした。画像や動画を作れるようになったのは2014年にGAN(敵対的生成ネットワーク)が開発されてからです。
そして、2017年にTransformerが登場すると、言語モデルの性能が飛躍的に向上し、GPTやBard(現:Gemini)が生まれました。さらに、2020年以降には画像生成AIの進化も加速。拡散モデルという技術が注目され、DALL·E 3やMidjourneyといったサービスが次々と登場しました。
こうした流れの中で、Geminiは現在も絶え間なく進化を続けています。今後、どんな未来を切り開くのか、その動向から目が離せません。
生成AIのGeminiについてまとめ
生成AI「Gemini」は、Googleが開発した生成AIモデルであり、今や生成AIの代表格であるChatGPTと肩を並べるツールへと成長しました。
Geminiは、最近人物画像生成にも対応するなど、その進化の速度には目を見張るものがあります。Googleが開発したGeminiIは、今後も私たちの生活やビジネスに大きな変革をもたらすと期待されています。