業務効率化や生産性向上を目的としてDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む企業が増えています。しかし、「DXツールにはどのような種類があるの?」「自社にはどのツールが必要なの?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
DXツールと一口にいっても、ビジネスチャットやWeb会議ツール、RPA、CRM、ERP、AI・生成AIなど種類がさまざまあり、それぞれ役割や導入目的が異なります。そのため、やみくもに導入してしまうと、十分な効果を得られないことも少なくありません。
そこでこの記事では、DXツールの基本から、代表的な11種類の特徴、おすすめツール、選び方、導入の流れまで初心者にもわかりやすくまとめました。DX推進を成功させるポイントや、ツールを使いこなすために役立つDX研修・講座についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
DXツールとは?
DXツールとは、デジタル技術を活用して業務効率化や生産性向上、データ活用を支援するシステムやソフトウェアの総称です。
まず、DX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタル技術を活用して業務プロセスや働き方、ビジネスモデルそのものを変革し、企業の競争力を高める取り組みを指します。単に紙をデジタル化したり業務をIT化したりすることではありません。
その実現を支えるのがDXツールです。社内のコミュニケーションを円滑にするビジネスチャットやWeb会議ツール、定型業務を自動化するRPA、営業活動を支援するSFA、顧客情報を管理するCRMなど、さまざまな種類のツールがあります。
DXツールを導入すると何が変わる?
DXツールを導入すれば、これまで人の手で行っていた業務を効率化できるだけでなく、情報共有のスピード向上やデータ活用による意思決定の迅速化など、さまざまな効果が期待できます。以下に効果の例をまとめました。
| 期待できる効果 | 内容 |
|---|---|
| 業務効率化 | 定型業務を自動化し、作業時間を削減できる |
| 生産性向上 | 従業員がより付加価値の高い業務に集中できる |
| 情報共有の迅速化 | 部署や拠点を超えてリアルタイムで情報共有できる |
| 人的ミスの削減 | 入力ミスや転記漏れなどのヒューマンエラーを減らせる |
| データ活用 | 売上や顧客情報を分析し、意思決定に活用できる |
| 働き方改革 | テレワークやペーパーレス化を推進し、多様な働き方に対応できる |
このように、DXツールは、企業全体の生産性向上や競争力強化を支える重要な基盤として活用されています。さらに、業務がデータとして蓄積されることで、勘や経験だけに頼らず、数値に基づいた意思決定ができるようになる点もDXツールのメリットです。
DXツールは大きく11種類ある
DXツールは大きく以下の11種類に分けることができ、解決できる課題や導入目的によって選ぶべきツールが異なります。
| DXツールの種類 | 主な用途 | 代表的なツール | おすすめの企業 |
|---|---|---|---|
| ビジネスチャット | 社内外の情報共有・連絡 | Slack/Chatwork/Microsoft Teams | メールでのやり取りを減らしたい企業 |
| Web会議 | オンライン会議・商談 | Zoom/Microsoft Teams/Google Meet | テレワークや遠隔会議が多い企業 |
| プロジェクト管理 | タスク・進捗管理 | Backlog/Trello/Asana | 複数人でプロジェクトを進める企業 |
| RPA | 定型業務の自動化 | WinActor/UiPath/BizRobo! | 入力・転記などの定型作業が多い企業 |
| CRM | 顧客情報・対応履歴の管理 | Salesforce/HubSpot CRM/Zoho CRM | 顧客管理や顧客対応を強化したい企業 |
| SFA | 商談・営業活動の管理 | Salesforce Sales Cloud/eセールスマネージャー/HubSpot Sales Hub | 営業活動を可視化したい企業 |
| ERP | 会計・販売・在庫・人事などの統合 | SAP S/4HANA/Oracle NetSuite/freee | 部門ごとのシステムやデータを統合したい企業 |
| BI | データ分析・可視化 | Tableau/Power BI/Looker Studio | 売上や経営データを分析したい企業 |
| AI・生成AI | 文章作成・分析・業務支援 | ChatGPT/Microsoft Copilot/Google Gemini | 資料作成や情報整理などを効率化したい企業 |
| 電子契約 | 契約締結・契約書管理 | クラウドサイン/DocuSign/GMOサイン | 契約業務をオンライン化したい企業 |
| ワークフロー | 申請・承認業務の電子化 | ジョブカンワークフロー/X-point Cloud/Create!Webフロー | 稟議や経費申請を効率化したい企業 |
ここからは、11種類のDXツールについて、それぞれの特徴や代表的なサービス、どのような企業におすすめなのかを詳しく紹介します。
ビジネスチャット

ビジネスチャットは、社内外のコミュニケーションを効率化するDXツールです。
メールより素早く情報共有ができ、「メールを開く→確認する→関係者を選んで共有する」という時間の短縮が可能です。ファイル共有やグループチャットにも対応しているツールもあります。
以下に、おすすめのDXツールをまとめました。
| おすすめDXツール | 特徴 |
|---|---|
| Slack | 外部サービスとの連携が豊富で、IT企業を中心に導入実績が多い |
| Chatwork | シンプルな操作性で、中小企業でも導入しやすい |
| Microsoft Teams | Microsoft 365との連携に優れ、チャットからWeb会議まで利用できる |
実際に私も、SlackとChatworkを導入しています。特に便利なのがリアクション機能で、クリックやタップでリアクションを送れば、わざわざ文章で確認したことを伝える必要がなくなります。
また、ビジネスチャットは、メール中心のやり取りを見直したい企業や、部署間・拠点間の情報共有をスムーズにしたい企業におすすめです。特に、テレワークを導入している企業や、迅速なコミュニケーションが求められる職場で効果を発揮します。
Web会議

Web会議は、オンラインで打ち合わせや商談、社内会議を行えるDXツールです。
場所を問わずコミュニケーションが取れるため、移動時間や交通費を削減でき、テレワークや遠隔地との会議にも役立ちます。
| おすすめDXツール | 特徴 |
|---|---|
| Zoom | 高品質な映像・音声で、多くの企業に導入されている |
| Microsoft Teams | チャットやファイル共有などMicrosoft 365と連携できる |
| Google Meet | Google Workspaceとの連携に優れ、手軽に利用できる |
私の場合は、上記すべてのDXツールを導入しています。取引先によって指定されるWeb会議ツールが異なる場合もあるので、複数導入しておくと安心です。
なお、Web会議は、テレワークを導入している企業や、複数拠点・取引先との打ち合わせが多い企業におすすめです。
プロジェクト管理

プロジェクト管理ツールは、タスクや進捗状況を一元管理できるDXツールです。
担当者や期限を可視化できるため、作業漏れや進捗の遅れを防ぎ、チーム全体の生産性向上につながります。
| おすすめDXツール | 特徴 |
|---|---|
| Backlog | 日本企業向けで使いやすく、タスク管理機能が充実 |
| Trello | ボード形式で直感的に操作できる |
| Asana | プロジェクト全体の進捗管理に強い |
私の場合は、BacklogとTrelloの2つを利用しています。Backlog・Trelloはともにチャット機能も搭載されているため、タスク管理と合わせて活用しやすいのが魅力です。複数人でプロジェクトを進める企業や、タスク管理を見える化したい企業に向いています。
RPA

RPAは、パソコン上の定型業務を自動化するDXツールです。
データ入力や転記などの繰り返し作業を自動化することで、業務時間の短縮や人的ミスの削減が期待できます。
| おすすめDXツール | 特徴 |
|---|---|
| WinActor | 国内シェアが高く、日本企業での導入実績が豊富 |
| UiPath | 高機能で大規模な自動化にも対応 |
| BizRobo! | 幅広い業務の自動化に対応できる |
また、上記に加えて業種ごとのRPAツールが提供されているケースもあります。
私の場合は、CADソフトをよく使うため、AutoCADに搭載されているアクションレコーダという、動作を記録して繰り返し実施できる機能などを活用しています。
同じように、上記3つのDXツールも定型作業を自動化できるため、定型業務が多いバックオフィスや、事務作業を効率化したい企業におすすめです。
CRM
CRMは、顧客情報や問い合わせ履歴を一元管理するDXツールです。
顧客対応の品質向上やリピート率の向上につながり、営業やカスタマーサポートを支援します。
| おすすめDXツール | 特徴 |
|---|---|
| Salesforce | 世界的な導入実績を持つCRM |
| HubSpot CRM | 無料から利用でき、中小企業にも人気 |
| Zoho CRM | コストを抑えて導入しやすい |
特に、Salesforceは、独自ツール開発なども行えるため、自社ならではの業務に当てはめやすいのが魅力です。顧客対応を強化したい企業や、顧客情報を部署間で共有したい企業におすすめです。
SFA
SFAは、営業活動を効率化・可視化するDXツールです。
商談状況や案件の進捗を管理できるため、営業活動の属人化を防ぎ、成果の分析にも役立ちます。
| おすすめDXツール | 特徴 |
|---|---|
| Salesforce Sales Cloud | 高機能で幅広い企業に対応 |
| eセールスマネージャー | 日本企業向けの営業支援機能が充実 |
| HubSpot Sales Hub | CRMと連携しやすく導入しやすい |
ブラックボックスになりやすい営業活動を見える化できるのが強みです。
営業担当者が複数いる企業や、営業活動をデータで管理したい企業におすすめです。
ERP
ERPは、会計・販売・在庫・人事などの基幹業務を一元管理するDXツールです。
部門ごとに分散していたデータを統合でき、経営判断の迅速化にもつながります。
| おすすめDXツール | 特徴 |
|---|---|
| SAP S/4HANA | 大企業を中心に導入実績が豊富 |
| Oracle NetSuite | クラウド型ERPとして人気 |
| freee | 中小企業でも導入しやすい |
通常だと縦割りになりやすい業務を一元管理できるため、部署ごとの情報共有がうまくいっていないと悩む企業に向いています。なかでも、複数の業務システムをまとめたい企業や、全社的な業務効率化を進めたい企業におすすめです。
BI
BIは、企業に蓄積されたデータを分析・可視化するDXツールです。
売上や業績をグラフで確認できるため、データに基づいた意思決定を支援します。
| おすすめDXツール | 特徴 |
|---|---|
| Tableau | 高度なデータ分析・可視化に対応 |
| Power BI | Microsoft製品との連携に優れる |
| Looker Studio | Googleサービスとの連携がしやすい |
長年蓄積されてきた経営実績や営業履歴などをもとに、企業の「今」と「今後」をDXツール内で可視化できるのが魅力です。経営データを分析したい企業や、売上・業績を見える化したい企業におすすめです。
AI・生成AI

AI・生成AIは、文章作成やデータ分析、アイデア出しなどを支援するDXツールです。
業務の効率化だけでなく、企画や資料作成など幅広い業務をサポートします。
| おすすめDXツール | 特徴 |
|---|---|
| ChatGPT | 文章作成や要約、アイデア出しに活用できる |
| Microsoft Copilot | Microsoft 365と連携して業務を支援 |
| Google Gemini | Google Workspaceとの連携に優れる |
それぞれ、強みや得意分野が異なるため、私の場合は、上記すべてのDXツールを導入しています。資料作成や情報整理を効率化したい企業や、生成AIを業務へ取り入れたい企業におすすめです。
なお、生成AIをより効果的に活用したい場合は、基礎知識だけでなく、プロンプトの作り方や実務での活用方法まで学ぶことが欠かせません。
以下のセミナーでは、ChatGPT・Copilot・Geminiなどを実際に操作しながら、生成AIの基礎から業務効率化への活用まで短期間で習得できます。生成AIをこれから業務に取り入れたい方はチェックしてみてください。
| セミナー名 | 生成AIセミナー |
|---|---|
| 運営元 | GETT Proskill(ゲット プロスキル) |
| 価格(税込) | 29,700円〜 |
| 受講期間 | 2日間 |
| 受講形式 | 対面(東京・名古屋・大阪)・ライブウェビナー・eラーニング |
電子契約

電子契約は、契約書の締結や保管をオンラインで行えるDXツールです。
印刷や郵送が不要になるため、契約業務を効率化し、ペーパーレス化も進められます。
| おすすめDXツール | 特徴 |
|---|---|
| クラウドサイン | 国内で高い導入実績を持つ |
| DocuSign | 海外でも広く利用されている |
| GMOサイン | コストを抑えて導入しやすい |
私の場合、外部委託契約の際にクラウドサインやGMOサインを活用しています。
Web上で手続きを完結できるほか、やり取りをデータとして残せるため、後々の「言った・言っていない」という手続きトラブルを防止しやすいのが魅力です。
たとえば、契約書のやり取りが多い企業や、契約業務を効率化したい企業におすすめです。
ワークフロー
ワークフローは、社内の申請・承認業務を電子化するDXツールです。
紙の申請書をなくし、承認状況を見える化することで、業務のスピード向上につながります。
| おすすめDXツール | 特徴 |
|---|---|
| ジョブカンワークフロー | 中小企業でも導入しやすい |
| X-point Cloud | 直感的な操作で申請・承認を電子化できる |
| Create!Webフロー | 柔軟な承認ルートを設定できる |
特に、アナログな承認スタイルの企業の場合、確認に大幅な時間を要します。
一方、ワークフロー系のDXツールがあれば、関係者が外部に出ていた場合でも、すぐに確認して承認作業を進められるのが魅力です。
稟議書や経費申請などの承認業務が多い企業や、ペーパーレス化を進めたい企業におすすめです。
DXツールの選び方

DXツールは種類が多く、それぞれ得意とする機能や活用シーンが異なります。
そのため、「有名だから」「他社が導入しているから」という理由だけで選ぶと、自社の課題を解決できない可能性があります。
導入後に後悔しないためにも、以下のポイントを確認しながら、自社に合ったDXツールを選びましょう。
| DXツールの選び方 | ポイント |
|---|---|
| 解決したい課題から選ぶ | 業務効率化や営業支援、情報共有など、自社が解決したい課題を明確にしたうえで、目的に合ったツールを選ぶ |
| 会社規模に合ったツールを選ぶ | 中小企業向けから大企業向けまでさまざまなツールがあるため、利用人数や必要な機能に合わせて選ぶ |
| 既存システムと連携できるか確認する | 会計ソフトやMicrosoft 365など、現在利用しているシステムと連携できるかを事前に確認しておく |
| 無料トライアルで操作性を確認する | 実際の使いやすさは、資料だけでは判断できないため、無料トライアルを活用し、操作性や機能が自社に合っているか確認する |
| サポート体制・セキュリティを確認する | 導入時のサポートや問い合わせ対応、セキュリティ対策が充実しているツールを選ぶことで、安心して運用できる |
これらのポイントを押さえて比較すれば、自社の課題に合ったDXツールを選びやすくなります。導入後の定着や運用まで見据えて検討することが、DXを成功させるポイントです。
DXツール導入の流れ
DXツールは、導入するだけで成果が出るわけではありません。
自社の課題を整理し、目的に合ったツールを選んだうえで、段階的に導入・運用することが重要です。一般的なDXツール導入の流れは以下のとおりです。
- 自社の課題や導入目的を明確にする
- 目的に合ったDXツールを比較・選定する
- 無料トライアルやデモで操作性を確認する
- 小規模な部署やチームから導入する
- 運用状況を確認しながら全社へ展開する
実際に私もDXツール導入に関わった経験がありますが、特に重要なのが一番目の課題や目的の明確化です。ここが定まらないと何度も手戻りが生じてDXツール導入が進みません。
また、最初から全社で導入するのではなく、小規模で運用を開始し、課題や改善点を確認しながら導入範囲を広げることも重要です。少しずつ規模を広げていくことで、現場への定着や導入効果を高めやすくなります。
DXツール導入でよくある失敗と回避策

DXツールは、自社の課題や目的に合ったものを選び、現場に定着させることが重要です。
しかし、導入方法を誤ると「期待した効果が出ない」「現場で使われない」といった失敗につながることもあります。導入前に、よくある失敗例と回避策を確認しておきましょう。
| よくある失敗 | 回避策 |
|---|---|
| 目的が曖昧なまま導入する | 解決したい課題や導入目的を明確にする |
| 高機能なツールを選びすぎる | 必要な機能を整理し、自社に合ったツールを選ぶ |
| 現場に定着しない | 事前に社員へ説明し、研修やマニュアルを用意する |
| 既存システムと連携できない | 導入前に連携可能なシステムを確認する |
| 導入後に効果測定・改善をしない | KPIを設定し、定期的に運用状況を見直す |
DXツールは、導入そのものが目的ではなく、業務改善や生産性向上につなげることが重要です。事前に起こりやすい失敗を把握し、適切な対策を講じることで、DXツールをより効果的に活用できます。
DXツールを使いこなすにはDX研修・講座の受講もおすすめ

DXツールは、導入するだけでなく、社員が機能や活用方法を理解し、実際の業務で使いこなすことが重要です。DX研修・講座を受講すれば、DXの基礎から生成AI・データ活用・業務自動化などを体系的に学べるため、ツールの定着や業務効率化につなげやすくなります。
企業全体のDXスキルを高めたい場合は、以下の研修サービスがおすすめです。
社員のDXスキルを可視化し、レベルや目的に応じた研修を実施できるため、自社に必要なDX人材を効率的に育成できます。
DXツールを導入したものの活用が進んでいない企業や、これから全社的にDXを推進したい企業は、研修内容をチェックしてみてください。
DXツールについてまとめ
DXツールは、業務効率化や生産性向上を実現するために欠かせないツールですが、DXツールごとに得意分野や活用シーンが異なるため、自社の課題や目的に合ったものを選ぶことが重要になります。
また、導入後は社員への教育や運用ルールの整備を行い、継続的に活用していくことも成功のポイントです。DXツールの特徴や選び方を理解したうえで、自社に最適なツールを導入し、DX推進に役立ててみてください。
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