ChatGPTをはじめ、生成AI関連の報道が連日ニュースを賑わせています。昨年は、生成AIに対応するApple製品の登場も話題になりました。
しかし、ネット上では「Appleの生成AIはいつから使える?」「リリースが遅れているのでは?」などの疑問の声が多く聞かれます。
そこで本記事では、Appleの生成AIのリリース時期や遅れた理由、対応機種、Appleの生成AIができることについて詳しく解説します。
Appleの生成AI「Apple Intelligence」とは?
Appleの生成AI「Apple Intelligence」とは、画像編集・文章要約やリライトなど多彩な機能を備えたAIです。
このAppleの生成AIは「知能を備えた新しいツール」として、Apple各製品に文章の要約やリライト、画像の編集など、多彩な機能が追加されました。Apple独自のAIアシスタント・Siriの会話がより自然になったのも、今回注目を集めた生成AI機能によるものです。
ChatGPTとの違いは?
Apple IntelligenceはAppleが開発した生成AIですが、やはり、生成AIといえばChatGPTを連想する人も多いでしょう。
そこで以下に、Apple IntelligenceとChatGPTの違いを表にまとめました。
項目 | Apple Intelligence | ChatGPT |
開発元 | Apple | OpenAI |
利用環境 | Appleデバイス (iPhone, iPad, Mac など) に統合 | Webブラウザ、APIなどを通じて利用可能 |
特徴 |
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日本語対応 | 不可(2025年4月予定) | 可 |
ChatGPTについては、以下の記事で詳しく解説しています。仕組みや課題点、導入事例もお伝えしているのでぜひご一読ください。
Appleの生成AIはいつから?
Appleの生成AI「Apple Intelligence」は、2024年6月にWWDC24で発表され、その後正式にリリースされました。
提供開始日は2024年10月29日で、同日リリースされた「iOS 18.1」「iPadOS 18.1」「macOS Sequoia 15.1」とともに公開されています。
2025年4月に日本語対応予定
なお、Appleの生成AI「Apple Intelligence」は、現在(2025年2月7日)、日本語対応していません。日本語を含む9言語への対応は2025年4月に予定されています。
2025年4月に予定されている対応言語は以下の通りです。
- 日本語
- 中国語
- 英語(インド、シンガポール)
- フランス語
- ドイツ語
- イタリア語
- 韓国語
- ポルトガル語
- スペイン語
- ベトナム語
ネット上で「Appleの生成AIがいつから?」という疑問の声が多いのは、日本語対応が開始されていないことも理由と推察されます。2025年4月以降、Apple Intelligenceに関する情報がさらに公開される可能性がありますので、引き続き注目していきましょう。
ChatGPTとの統合で生成AI機能を強化
Appleは、2024年12月1日には独自のAIアシスタント「Siri」と「作文ツール」にChatGPTを統合することも公表しています。この統合により、ユーザーはアプリを切り替えることなく、ChatGPTを活用できるようになりました。
例えば、テキストのリライトはスムーズに行え、AI画像の生成も即座に対応可能です。さらに、「画像マジックワンド」を使えば、メモアプリ内のラフなスケッチを瞬時にハイクオリティなイラストに変換できます。
このように、Apple IntelligenceはChatGPTの技術を組み込むことで、ユーザーニーズの多様化や高度化に大きく貢献しています。
Appleの生成AIでできること
Apple製品に生成AI機能が追加されたことで、具体的に何ができるようになったのか、どのようなメリットがあるのかを知りたいという方は多いでしょう。
以下では、Appleの生成AI機能でできることを詳しく解説します。
- テキストの生成と編集
- スマートな通知管理
- 音声認識と文字起こし
- 進化した画像機能
- 写真検索と編集機能
①テキストの生成と編集
Appleの生成AI「Apple Intelligence」に搭載されたライティングツールは、テキストの文体変更や要約に対応しています。
例えば、ラフに書いたテキストをフォーマルな文章に変える、長文の要点を簡潔にまとめるなどです。ビジネスメール送信前にAppleの生成AIに尋ねれば、適切なメールに改善してくれるため、何度も試行錯誤して書き直す手間が省けます。
②スマートな通知管理
Appleの生成AI「Apple Intelligence」は、大量の通知を使いやすく整理してくれます。
例えば、AIがテキスト内容を分析し、支払い期限など緊急性の高いメールを優先表示するなどです。この機能は「必要な情報の見落としを防ぎたい」「不要な情報による混乱を回避したい」という場合に大きな効果を発揮します。
③音声認識と文字起こし
Appleの生成AI「Apple Intelligence」は、録音と会話の自動文字起こし機能を搭載しています。
さらに、録音した内容を要約する機能もあるため、「会議や電話の内容を素早く確認したい」「効率的に議事録作成したい」という場合に活用できます。アプリ内の録音ボタンをタップするだけの簡単操作も魅力です。
④進化した画像機能
Appleの生成AI「Apple Intelligence」には、画像生成に対応する「Image Playground」、写真から絵文字を作成する「Genmoji」が搭載されています。
「Image Playground」は、テキストやキーワードを入力するだけで簡単に画像を生成する機能です。さらに、テキストの話題や文脈を読み取り、それに関連した画像を、AI自らが提案する能力も備えています。
⑤写真検索の効率化
Appleの生成AI「Apple Intelligence」は、写真検索機能も強化されました。例えば、「ピンクのシャツを着た写真」など、自然な言葉で検索するだけで、見たい写真をすぐに表示できます。
不要な物を簡単に削除できる「Clean up」機能を使うと、誰でも簡単にプロフェッショナルな画像に仕上げることができます。
Appleの生成AIが遅れた理由
Appleの生成AI「Apple Intelligence」の提供開始が遅れたのは、機能の安定性に対する懸念があったためです。
提供遅延に関する情報は、2024年7月28日にブルームバーグが報じたことで初めて明らかになり、9月9日にはAppleも自ら10月リリースを公表しました。当初のリリース予定は9月だったため、実に約1ヶ月の遅れとなります。
「オンデバイス型」も要因の一つ
Appleが生成AI「Apple Intelligence」のリリースを延期したのは、Appleが主に「オンデバイス型」のAIモデルを使っていることも一因とされています。
オンデバイス型AIは、デバイス自身で情報を処理するため、情報処理能力に限界があります。一方、GoogleやOpenAIは「クラウド型」の大規模なAIモデルを使用しており、より多くの情報を処理することが可能です。
つまり、Appleのオンデバイス型モデルは情報処理能力に制限があるため、大規模な言語モデルの実行に必要な処理能力を満たすことが難しいという課題を抱えています。これが、Apple Intelligenceの提供開始遅れの一因となっていると考えられているのです。
Appleの生成AI対応機種一覧
Appleの生成AIはどの機種に対応しているのでしょうか。Apple製品をお使いの方であれば、ご自身のデバイスが対応しているのか知りたい方も多いでしょう。
Appleの生成AI「Apple Intelligence」を利用できるのは、iPhone 16シリーズ全機種、iPhone 15 Pro/Pro Max、M1チップ以降を搭載したiPadとMac、そしてiPad mini (A17 Pro)です。
以下に、Appleの生成AIが対応している機種について一覧表にまとめました。
デバイス | モデル |
iPhone |
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iPad |
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Mac |
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引用元:Apple
Appleの生成AIを使う際の注意点
上記のデバイスでAppleの生成AI機能を利用する際は、最新のOSであるiOS 18、iPadOS 18、macOS Sequoiaにアップデートしなければいけません。
また、Siriとデバイスの言語設定を英語(オーストラリア、カナダ、アイルランド、ニュージーランド、南アフリカ、イギリス、アメリカのいずれか)にする必要があります。
生成AI独自の課題点も考慮
Appleの生成AI機能を使う際には、生成AI独自の課題点もしっかり考慮しておきましょう。
特に、誤情報生成、著作権侵害は最も懸念すべきポイントです。安心してAppleの生成AI機能を活用するためにも、まずは利用するユーザー自身が生成AIの特性について理解を深めることが重要です。
生成AIセミナーでは、生成AIの基本的な知識、仕組み、活用方法をわずか2日でマスターできます。Appleの生成AI機能に興味を持っている方も、ぜひこの機会にご参加ください。
Appleの生成AIが抱える課題点
Appleの生成AIは開発段階であるため、いくつかの課題点を抱えています。
利用できるデバイスの制限
最も大きな課題点が、利用できるデバイスの制限です。
高度なAI機能を利用するには、最新のチップを搭載したiPhone 16シリーズやiPhone 15 Pro/Pro Maxなどの一部の機種に限られます。つまり、現時点では古い機種や標準モデルのユーザーが生成AI機能を体験することができないのです。
外部システムとの連携が限定的
また、Appleは、プライバシーとセキュリティを重視する傾向が強く、生成AIに関しても外部サービスとの連携に慎重な姿勢を示しています。これは、MicrosoftがOpenAIのGPT-4を基盤としたCopilotを自社製品に搭載するなど、外部AIサービスを積極的に導入している競合他社とは対照的です。
2024年12月にはChatGPTなど外部のAIサービスとの連携も開始しましたが、まだ限定的であるといえるでしょう。今後、ChatGPTを皮切りに、健康、教育、金融など、様々な分野で外部サービスとの連携が進むことが期待されます。
Appleの方針はユーザーに安心感を提供
このように、Appleは常にプライバシーとセキュリティを重視していますが、それが「新しいAI機能の導入を遅らせる要因になっている」との見解も少なくありません。
しかし、慎重な開発姿勢は、ユーザーに安全なAI体験を提供するために欠かせない要素です。Appleの生成AIにおける課題点は、今後の展開次第で強みに転じる可能性も十分にあるといえるでしょう。
今回話題となっているAppleが搭載した生成AIに関しては以下の記事で詳しく解説しています。理解を深めるためにもぜひご一読ください。
Appleの生成AIについてまとめ
Apple製品にも生成AI機能が搭載されるなど、生成AIの進化は日進月歩の勢いで加速化しています。生成AIは非常に便利なツールであり、今後もさらに活用範囲が広がり、私たちの生活を豊かにしていくと予想されています。
まさに時代の最先端を行く技術といえますが、生成AIはハルシネーション(誤情報生成)やオリジナリティの欠如、著作権問題など、いくつかの課題も顕在化しています。生成AIは非常に強力なツールですが、取り扱う際には自らが正しい知識を持ち、その特性を理解することが重要です。
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